「痛゛っ!!!」
辰馬は慌てて私から離れる。
辰馬の腹にはナイフが刺さっていた。
「急所は外したから。痛いだけで死にはしないよ」
「テメェ、悪魔か…」
「あんたこそ。不知火で美花の後任だったんでしょ? の割にはクソ男だよ」
不知火は一示さんや美花が抜けてから衰退しているらしい。
もっともこいつが総長なら当然だ。
「そうか。美花のダチだったなお前。よくあんな化け物と一緒にいるぜ。本来なら凪瀬にだっていちゃいけねぇ存在なのによ」
「は…?」
辰馬はナイフを引き抜くと、傷口を押さえながら笑いだす。
「なんだ知らねぇのか? 美花は一年前……自分の親父を殺してるんだぜ」
その言葉に、私は目を見開く。