立ち止まって、私は美花の目を見つめる。 夕日が沈む。海は衣装を変えるように、赤色から藍色に変化する。 「私には、美花を止める権利はない。選ぶのは、美花だから。命をかけるかも、美花が選べばいい。だけど」 美花は視線を反らし、上へと移す。私も同じ方を見る。空には、一羽の白い鳥が円を描いていた。 「美花が誰かを大切に想ってるのと同じように、私も美花を大切に想ってる。祐希だってそう。だからほんの少し、そのことを思い出して欲しい」