「終わったんだね。私達の戦いは……振り返れば全部、悪い夢だったみたい」


大きな桜の木を見上げながら、私が言う。


陽の光が、透明な桜の花びらを透いて射し込み、白とピンクの淡い光に見える。


「だけど、死んだ美花や、桜や凪、クラスのみんなは、戻ってこないんだよね。一度失った命は、もう二度と……」


桜が散る。その花びらが、私達のうえに舞い落ちる。


「俺は、芽依が生きていてくれて、本当によかったよ」


響介は手袋を外す。私といるとき、いつもつけていたものだ。


「朱実の呪いって、本当に消えたの?」


私が言うと、響介は静かに微笑む。


「消えたよ」


響介は私のほほに、直接肌で、手を触れる。