頭の中に、朱実の声が響く。


『生け贄がなくとも、私は人の体を奪えるんだよ! 神崎メイっ! お前の体を奪い、新たな喰喰にしてやるっ!』


頭が狂いそうになる。


思考が他人に奪われ、体も思うように動かなくなっていく。


「ふふっ、朱実……あんたの負けだよ」

『はぁ…?』


私は辛うじて動く右手で、ポケットからナイフを取り出した。