祐希は激しく咳き込み、倒れる。私は祐希に水をあげる。


「読めたよ。ここには死体はない。旧校舎にはないみたい」


祐希の目はぼんやりとしている。サイコメトリーの力はかなり負担がかかるみたいだ。


「前に凪が言ってた。凛夏の特定の人を操る力とか、桜の重力を操り、人の心を読む力とか……血の契約によって与えられる力は全て、生前、夜月朱実が持っていた能力なんだって。だから普通の人間は、その負荷に耐えることができない」


「うん。そうみたいだね。でも、やるしかないよ…」


祐希はふらふらと立ち上がる。


「やっぱり、契約の代償は覚えてないの?」