「うん。けど多分、あと三時間は実行されないよ」
「喰喰には怪しまれなかった? 自分の生け贄を探すために得たって」
「それも大丈夫。私は多分、このために能力が欲しいって言ったと思うから」
祐希はポケットから美花の制服のリボンを取り出した。
「前に言ったでしょ。美花の記憶が薄れてるって。だから美花の記憶を少しでも思い出したい。喰喰の生け贄を探すためにサイコメトリーを使いたいのもあるけど、このために能力が欲しかったのも、嘘じゃないから」
美花の死に一番、心を痛めていたのは祐希かもしれない。
二人は美花がいじめを救ったことをきっかけに出会った親友同士だった。
その美花との大切な思い出が薄れていくのも、祐希には耐えられなかったのだろう。
私と祐希は旧校舎から新校舎へ向かい、今度は体育館を祐希が触れた。



