「あいつ……」


路地裏を進んでいると、目の前の道から、一人の男が現れた。


私は一瞬でUターンし、その場から逃げ出した。


遠目から目を見ただけで分かった。


あいつはプロの殺し屋だ。


どうやらこのシマで、大胆に稼ぎすぎたらしい。


シマを仕切っている組の人間が、私を殺すために遣わしたんだ。


ガシャャンンッ!!!!


突然、ガラスが割れるような音が響く。かと思うと、体勢が崩れ、地面に吸い込まれていく。


……血?


視界が霞む。頭から、血が流れている。


目の前には、さっきの男とは別の男が、割れたガラス瓶を握り、私を見下ろしている。


「立て。クソガキ…」