朝、祐希と私は凪瀬高校に向かい、歩いていた。


あの日から、音音の死体を探し、みんなで聞き込みとかをしている。


けれど、これといった有益な情報は得られずにいた。


「美花の記憶が薄れているの…」


祐希が寂しそうに言う。


「凪ちゃんがいたころは、凪ちゃんに触れることで、記憶を取り戻すことができた。響介君だって、それで美花のことを覚えてたし。


けど今は、喰喰の記憶の改竄を、少しずつ受けてるんだと思う」


それは私も同じだった。


美花だけじゃない。桜や凪や、家族の記憶も以前より薄れてきていた。


もう時間がない。


このままだと私達は喰喰と戦う理由も忘れ、いつかはみんなの記憶も全て失ってしまうだろう。


そんなの、絶対に嫌だ。


学校の校庭に到着すると、空から、大きな鳥がおちてきた。


いや、それは鳥じゃない。


「きゃあああ!!」