『私が死んだら、千年杉の根元を掘り起こして』


メモにはそう書かれていた。


私達は土が掘り返されたあとがある、千年杉の根元を掘った。


出てきたのは、一冊の大学ノートだった。


「最初の記録の封印を解けば、凪は喰喰に殺されることを知っていた。だから封印を解いたあと、大学ノートに中身を書き写したんだ。喰喰は最初の記録を奪ったけど、凪が本当に残したいのはこのノートだった。喰喰を最初の記録を奪ったと油断させて、俺達にこのノートを安全に渡すために」


私は涙をぐっとこらえた。


記録者としての凪の役目。それは世界の真実を書き残し、残された者たちに希望をつなぐこと。


凪はその役目を、立派に果たした。


「覚悟はいいかみんな」と響介。


「これを読めばもう、引き返せないぞ」