ふと凪の死体を見ると、懐に、一冊の赤い本が飛び出している。


もしかしてあれが、最初の記録?


そう思っていると、音音がその本を手にし、笑みをこぼした。


「晴、おまえ」


男子達が晴を囲う。


「てめぇのせいで翔と凪が死んだんだぞ。責任取れよ」


「はぁ? 凪はうちのせいだけど、翔を殺したのはあんたらじゃん!」


「うるせぇ! あのときはそうするしか……」


言い争う晴に向かって、音音が手をかざす。美花を殺したときのように。


「もとを正せば全部翔のせいだしっ! 私は悪く・く・く・く……」


晴は壊れたおもちゃのように繰り返しながら、関節が操り人形のようにありえない方向に曲がる。


そしてその手が晴のアゴとおでこをつかむと、勢いよく左に回転させる。