響介はお風呂上がりで、少し髪が濡れていた。手にはカップアイスを持っている。
「いちごとチョコバナナ、どっちがいい?」
私が「いちご」とこたえると、響介は同じベッドに入り、アイスを渡す。
「いいの? 私に触ると死ぬんでしょ?」
響介はいたずらに微笑む。
「それでも、側にいたいから」
ずるいよ。そんな甘い言葉。
響介はいまも、手袋をつけている。
それに私も、響介に触れないように細心の注意を払ってきた。
「そんなこと言って、私の他に好きな人がいるんでしょ?」
「えっ?」
「凪のこと、好きなんでしょ?」