私の周りを壊れたフェンスが宙に浮いて囲う。


これがさっきの勢いで飛んできたら、今度こそヤバいかも。


「ねぇねぇ、メイさん。私、あなたのこと実は嫌いではないんだよ。自由に生きてる感じがして、むしろけっこう好きだし」


「へぇ…」


「だから私と友達にならない? 喰喰ちゃんともメイさんなら仲良くなれると思う」


私はイラッとした怒りを抑え、挑発的に笑う。


「あんたはまだ、代償の怖さを知らない。きっと契約したことを後悔する」


「そっか…」


フェンスが私めがけて飛んで来る。


「じゃあメイさんも“子宮の部屋”で生まれ変わらないとね」


そこから意識がぼんやりとし、遠のく。


最後に私が見たのは、桜の隣に歩み寄る喰喰の姿。


二人は微笑みを交わすと、喰喰が桜のほほにキスをした。