桜が来た。ヘラヘラと笑い、一太郎君と恵里奈のもとへ向かう。


「桜…」


一太郎君と恵里奈は恐怖なのか顔をひきつらせた。が、すぐに表情を戻して膝をつき、頭を地面につけた。


「ごめん桜、僕らが悪かった」

「いじめのこと、本当に後悔してるの」


桜はにやついた表情から真顔になる。


二人は謝罪の言葉をのべながら、何度も頭を地面につける。


私と祐希はただ二人を見守る。


すると桜がまた笑いだし、


「ねぇ、“エクセター公の娘”って知ってる? 中世イギリスのロンドン塔で実際に使われてた拷問器具でね。両手足を逆方向からすごい力で引っ張るんだよ!」


その言葉に、ビクッと二人は反応する。


桜の目と耳から、少量の血が流れる。