高級和食店での食事の最中、倫太郎に柑愛用のハッキングサイトを依頼していた揚羽は…


数日後。

知り合いがドレスの通販サイトをしてるから、気に入ったものがあれば3割引で買えると斡旋して…
さっそく柑愛に、その偽サイトのリンクを送った。


そして仕事を終えると…
店を出てビル下に降りたところで、平日なのに久保井と出くわす。

「あれ、終わりっ?
もうそんな時間?」

「…そうですよ。
時間もわからないくらい、酔ってるんですか?」

久保井は酔った口調でフラフラしていた。


「そっ。
…介抱してくれる?」

とろんと妖艶な目で、甘えるように見つめられて…
思わず胸を掴まれそうになった揚羽は、慌てて視線を外しながら不満を浮かべた。

この前はシカトしたくせに…


「そうしてあげたいとこですが、柑愛ちゃんに怒られちゃうんで」

「じゃあ、柑愛ちゃん呼んでくれる?」

「もう帰りましたよ。
珍しいですね、そんなに飲むなんて」

久保井はいつも、薄い水割りを1・2杯しか飲まないようで…
キープしてるボトルもほとんど減っていなかった。