「近いうちに作るって…
ターゲット(あいつ)の練習台かよ」

「カップ麺よりマシでしょ?
その約束はまた今度、生姜焼きでも作ってあげるわ」

「…嫌な思い出のクセに?」

「あぁあれ、気にしてたの?
別にただ…
あの男には作りたくなかったから、そう言っただけよ」

揚羽はなんとなく…
倫太郎の大好物を、他では作りたくなかったのだ。

「…ふぅん」
倫太郎はどこか嬉しそうに顔を背けると、出された"豚と茄子の味噌炒め"をバクバクと口に運んだ。


今回の手口は…
その料理のためにわざわざ特別な味噌を注文したが、取って来るのを忘れたという設定で。
優しい鷹巨が車で取りに行ってくれるのを想定し、またはそう仕向け。
その間に下準備や副菜を用意すると偽り、部屋を物色するといったものだ。

そのため下準備や副菜は、最初から完成させていて。
味噌を注文したデパートも、時間稼ぎのため混雑する場所を選んでいた。


そして鷹巨の動向は倫太郎が見張り。
戻って来るまでに通帳やカード等が見つからなくても、超小型隠しカメラを仕込んだり。
鷹巨の携帯充電ケーブルとすり替える、同じ見た目のハッキングケーブルを用意していた。