そのあと行ったホラーハウスでは…

「うわあっ、ビックリした…
聡子さん、怖くないんですか?」

「はい私、ホラー系は平気なんです。
なので、今度は私が手を繋いであげますねっ?」

本当は怖がって親密度を深めようと謀っていたが…
鷹巨が思いのほか怖がっていたため、方向性を変えたのだった。


「なんか俺、情けなくないですかっ?」

俺…
怖さで素が出てるし。

「いえ、可愛いです」

「いやそれ嬉しくな、うわっ」

「あはっ、大丈夫ですよ〜」

「それバカにしてませんっ?」

「してないです、素敵です」

事実、他が完璧すぎるため、ほっとする一面だと思っていた。


「絶対バカに、てうわあ!」

「ふふっ、もうすぐ出口なので頑張りましょうね〜」

最初はこれも詐欺の手口で、演技かとも思っていたが…
鷹巨の手汗がほんとに怖いのを物語っていた。


「すみません、手ぇ気持ち悪いですよね…
すぐ洗いに行きましょう」

「全然平気ですよ?
座っててください、何か飲み物買って来ますね」


そうして揚羽は、2人分の飲み物を買って休憩場所に戻ると…
鷹巨がいるはずのテーブル席には、知らない家族連れが座っていた。