救急車を呼んだのは、鷹巨だった。


望は警察の事情聴取で…
鷹巨がどこまで話すか分からなかったため、何も供述しなかったが。

鷹巨の自供はこうだった。


聡子というホステスと付き合っていたが、連絡が取れなくなり…
ストーカーしたら、他の男といるのを知り。
その男が邪魔してると思い、奪い返そうとした。

と、それ以外の情報は黙秘していて…

飲み屋にありがちな、色恋営業を本気にしたヤバめの痛客、という見解がなされていた。


ちなみに聡子の連絡先と通信記録は、仁希の手によってとっくに消されていた。


また、殺意に関しては否定していて。
追いかけて来れないように足を狙ったそうだが…
素人が無難な場所を狙えるわけもなく。

大腿動脈の壁にかすってしまい。
倫太郎が激しく動いた事で、内部まで達してしまったようだ。


そのため倫太郎は…

出血性ショックによる昏睡状態で、もう1週間眠り続けていた。



望は、眠る倫太郎の髪を撫でながら…

ー「けど今度こそ、命懸けで守ってやるよ」
「お前のためならいくらでも死んでやるよ」ー
ふと、そんな言葉を思い出し。

「…バカね」と、切なげに呟いた。