「ほんとは口止めされてんだけど…
俺は、天才ハッカーなんかじゃないんだ。
ただの使いっ走りで…
ほんとのハッカーは、望のバディは、最初からずっと仁希さんだったんだ」

耳を疑う内容に…
思考が停止する望。


「なに、言ってんの…
はっ?意味わかんないだけど…」

「だからっ…
3年半前、仁希さんはアンタが黒詐欺やってんのを見つけて。
自分のせいだと思って、罪を回収しようとしたんだ。
けど組織にバレないようにするには、入念な工作が必要で…
その間アンタを守るために、俺が買われたんだ」

「…買われた?」

「ん、(毒女の)落とし前ん時に使った人身売買サイトがあったろ?
俺はあそこで売られてたんだ。

昔っからケンカばっかしててさっ。
ヤバいとこにケンカ売ったら、女と一緒に拉致られて、一緒に売られて…
そんな俺らを買ったのが仁希さんで。
俺の女を助ける代わりに、望を守るのが条件だったんだ」

「待って、頭が整理出来ないし…」

こうしてる間も、出血はどんどん広がっていて…
顔面は蒼白になっていて、冷汗もかいていた。


「今はそれどころじゃないっ、離してっ!」

「最後まで聞いたら離してやるよ!
それまで絶対離さねぇ」