虹色アゲハ

ホッとしたような、ガッカリしたような…
そしてその匂いとともに甦ってきた、あの頃の気持ちに翻弄されて…
揚羽は浮かない気分になっていた。



「大丈夫ですか?
まだ調子悪そうですが…」

「いえもう、大丈夫です。
ご心配おかけしました」

「なら良かったです。
…あ、あの花好きなんですか?
さっき立ち止まって眺めてたから」

「あぁ、はい。
だから、た…鷹巨さんがこういった所に連れて来てくれて、本当に嬉しかったんです」
恥じらう素ぶりで、下の名前を口にする。

「ほんとですかっ?
じゃあ良かったら、また一緒に来てもらえませんか?」

「もちろんですっ、嬉しいです」


なんとか次回に繋がり、ホッとしながらカフェを出ると。

家まで送るという鷹巨に、建前上遠慮の素振りは見せたものの。
揚羽は素直に受け入れた。

住居が分かれば、ターゲットは警戒を緩めたり、安心して油断したりするからだ。
さらにそうやって先手を打てば、発信機等を仕掛けられのも防げる。



「今日はありがとうございました。
お気をつけて」

「僕こそご馳走さまでした。
また連絡します」