虹色アゲハ

そんなある日。

用事があると言って出掛けた倫太郎。


「まだモノにしてないんだ?
お前ヘタレだな〜」

「ふざけんなよ!
望はオマエの事っ、」

「ふざけてないよ」
強い目と重い口調でそう制す。


「そうだ、お前の女だけど…
この前結婚が決まったよ」

「え…
…そっか。
つかもう俺のオンナじゃねぇし」



それから、話を終えた倫太郎は…
遣り切れない気持ちで帰宅すると。

いい匂いがして、キッチンに急いだ。


「あ、おかえり。
待ってる間落ち着かなかったから、冷蔵庫のもの使わせてもらったわよ?」

家族のように出迎えられた事もそうだが…
元気を取り戻したような行動に、嬉しくてたまらなくなる。


「好きに使えよ。
生姜焼き?」

「と、洋風茶碗蒸し。
もう出来るから、ご飯よそってくれる?
あ、ちゃんと手ぇ洗ってね」

「…ガキ扱いすんなよ」


そして、例のごとく幸せそうに食べる倫太郎を見て…
本当に、少し元気を取り戻す望。



「ところで、オマエの金なんだけど…
わかる範囲で調べたら、まだ揚羽の口座(水商売の金)には手ぇ付けられてなかったから、取り戻していったん俺の口座で預かってる」

久保井を思い出させる内容のため、言いにくい思いで告げると。