そうして、準備が整うと。

「じゃあ車回してくる」

「待って!一人にしないでっ(・・・・・・・・)
一緒に行く…」

望は、待ち続けるのや置き去りにされるのがトラウマになってしまい。

いつも強気な望がそんなふうに弱ってる姿に、倫太郎は幾度となく胸を潰される。


「大丈夫か?」
憔悴した様子でフラフラしている望を、優しく支えるも。

ぶっきらぼうな倫太郎がすると、悪い男が痛めつけた女を連れ去っているようで…
道行く人から不審な目を向けられる。

だけど、望が心配でたまらない倫太郎はそれどころじゃなく。


家に連れて帰って、ベッドに寝かしつけたところで…
ようやく胸を撫で下ろした。



その夜、睡眠薬が完全に抜けて目を覚ました望は…

「倫太郎っ?
ねぇどこっ!?」
その姿が見当たらず、部屋中を探し回ると。


玄関の扉が開いて。

「あ、起きたのかっ?」

帰って来たその人に、思わず抱きついた。


「倫太郎までいなくなったのかと思った…」

「っ…
俺んちなのにいなくなるわけないだろ?
起きたら腹減ってると思ってメシ買って来たんだ」
胸を締め付けられながら、片手でぎゅううと抱き締める。