「おいしっかりしろよっ…
望っ!」

切羽詰まった声とともに、身体を揺さぶられて。

望…?
うつろに目を覚ました望は、そう呼んだ相手を映すと。


「っ、倫太郎っ…」

そういえば倫太郎も本名を知っていたんだと思いながら。

「…どうして、ここに?」


「PCがウイルスにヤられて…
オマエのと繋がってるから大丈夫か連絡したら、携帯解約されてるし。
なんかあったんだと思って家来たら、チャイム鳴らしても出ねぇし。
合鍵で入ったら、部屋荒れてるしオマエ倒れてるし。
すげぇ焦った」

「っ、ごめん…」
心配をかけた事もそうだが…

「私のせいなのっ。
私があの男に負けたから…
久保井に負けたからっ!
たぶんこのPCから、倫太郎のに感染したんだと思う」

結局、倫太郎まで巻き添えにしてしまったと、胸が捻り潰される。


「俺のはいいよっ。
それよりオマエは大丈夫なのかっ?」

「私の事より!
復元出来るのっ?
仕事には響かないのっ?」

「だからいんだって!
復元はムリだけど、仕事の方は問題ねぇから」

「ほんとにっ?
けど倫太郎でも復元出来ないなんて…」

「…たぶん専用のUSBで、タチ悪いウイルス入れられたんだろ」