翌日。

甘い余韻に包まれて、目を覚ますと…
隣に仁希の姿はなく。

トイレだろうか?と、身体を起こした望は…
クラクラして、片手で頭を抱えて項垂れた。


きっとイキすぎたせいだと、恥ずかしくなりながら、ベッドを抜けようとしたら…

「えっ…」
目を疑う光景が映り込む。

クローゼットと、その中にある金庫が開いていたのだ。


フラフラしつつも、慌てて側に駆け寄ると…
金庫の中は、両方とも空っぽで。

望は一気に血の気が引く。


だけどすぐに。

「仁希!?
仁希どこっ!?」

その人が内容を確認しているのだと…
思ったところでハッとする。

金庫の鍵も暗証番号も、自分しか知らないからだ。


じゃあいったい…

混乱しながらも、服を着てとりあえず仁希の姿を探したが…
ベランダにもマンション内の通路にも、どこにも見当たらず。

連絡しようにも、逃亡中の仁希は何も携帯しておらず。
念のため、以前の番号にかけてみようと思い立つが…

そこで、自分の携帯も全て失くなっているのに気付く。


嘘、どういう事っ…

まさかPCも!と、すぐにそれを確認すると。
案の定、使えなくなっていて。

頭が真っ白になった望は、茫然と…
その場に崩れた。