虹色アゲハ

「でもそれなら逆に、情報を共有して口裏を合わせた方が隠せたんじゃない?」

「あの頃の望ならすぐに見破られたよ。
こっちはカマかけも尋問もプロなんだし」

「だとしても、そんな事で消されたりはしないでしょっ?」

「可能性はあるよ。
俺の唯一の弱点だから、なんかあったら狙われるし。
仲間に引き込まれて、一生組織に飼い殺される」

しかも望の場合、身寄りもなく好都合で。
ビジュアル的にもかなり稼げるため、絶好のカモだという。


「だからそうならないように。
俺のカモに見せかけて、遺産を預かる事にしたんだ。
さすがに結婚や逃亡となると、隠すのが難しくなるからさ…
その作戦なら望の存在がバレても、詐欺のターゲットだって誤魔化せると思ったんだ。
事実、逃亡資金を得るために詐欺した事になってるし」


当時、まだ少年と呼ばれる年代で…
出会った頃からずっと、そこまで冷静に状況判断していた事に。
これまでの勝負でしてやられるわけだと脱帽する。


「けどそのせいで、望を金銭的にも追い詰める事になって…
ほんとにごめん」

「ううん、私を守るためにしてくれた事だし…
むしろ私の方こそごめんなさい。
何も知らずに恨んでた」