虹色アゲハ

「だから俺、そいつとして人生やり直そうと思ったんだ」

「でもその男はどうなるのっ?
戸籍を乗っ取ったのがバレたら、」

「とっくに死んでるよ」
そう遮ってきた言葉に、驚愕する望。


「…組織に潰されたんだ。
うちには、そんな奴らがゴロゴロいてさ。
それを一つ、秘密裏に奪ったつもりだったんだけど…」

「見つかって、逃げられなくなったってわけね」

「まぁ、結果的には」

「だったら!
なんでそれを話してくれなかったの?
駅には来てくれたんでしょ?
そのあと、あの秘密基地でも待ってたのよっ?」

「改札口の前で捕まって、刺されちゃってさ。
そんでしばらく寝込んでたから、秘密基地にも行けなかったんだ」
苦笑いしながら下腹部を指差す仕草に…

望はハッと思い出す。


ー「自由奔放な猫みたいな?」
「それいいねっ。
でもあんまそうすると、刺されたりするからな〜」ー

「もしかして…
前に刺されたって言ってたのは、その事?」

「そっ。
自由を求めて思うままに行動したら、グサリってね」

私はなんて事を…