数日後。

少し落ち着いた揚羽は、倫太郎に久保井のレクサスを調べてもらうと…


「試乗車っ?」

借りたのはまた、例の女詐欺師で…
してやられたと、片手で顔を覆って溜息を零した。

あんな事になり、盗聴器も発信機も仕掛け損ねていたが…
結局のところ、何をしても意味がなかったのだ。


「つかもうヤメろよ。
見て(・・)らんねぇし…」
辛そうに顔を歪める倫太郎。

「それを言うなら聴いて(・・・)でしょ」

「同じ突っ込みすんなよ…」
舌打ちしてぼそりと呟く。

「ふふ、前にも言ったっけ?」

「とにかく、俺らが太刀打ち出来る相手じゃねぇし…
オマエは男とイチャついてろよ」

「なにその言い草…
そうよね、あんなやらかすぐらいだし?
こんな使えないバディの巻き添え食ったら、あんたまでヤバいもんね」

「はっ?
誰もそんな事言ってねぇだろ」

「そりゃストレートには言えないわよね。
でも心配しないで?
この件はもう1人でやるから」
そう言い捨てて、玄関に向かうと。


「おい、待てって!」

ガシッと、揚羽は腕を掴まれる。