結果、俺たちは衣服店に寄る前に甘味処(強制的)に連れて行かれた。


正直沖田隊長の甘味好きヤバイ。


何この人、一人でどれだけ食べようとしてるの?


これはもうヤバイを通り越して呆れるよ。



「沖田隊長ぉ〜いつになったら行くんですか?
 かなりの時間いますけど」


「もうひょっひょまっへ(もうちょっと待って)


「それさっきも聞きましたよ」


























最終的に衣服店に行ったのは夕方だった。


着物の量すげぇ。


すると女将さんらしき人が出てきた。


その後ろからも綺麗な少女が出てきた。


ん?ちょっと待て。


いや、それはない。


いやでも私と一緒に落ちたからあり得るのか?


私が心の中であたふたしていると
少女も私に気が付いたようだった。



「す、鈴ちゃん!!」



「「え?」」



沖田隊長と女将さんは声を揃えて驚く。


待って私偽名使ってるんだった。


駄目だ。このこと話したらバレる。


すまんな許して。



「岐山、知り合い?」


「い、いえ、初対面です」



ごめんね。



「う、嘘鈴ちゃんでしょ!?」


「申し訳ありませんが人違いでは?
 俺の名前は美吉野岐山ですよ?」


「お優。あんたの言ってるお鈴ちゃんは新撰組
 じゃないだろう?それにこの子は男の子。
 それに、鈴ちゃんは…」


「鈴ちゃん!!なんで嘘つくの?」


「ですから、俺男ですし」


すると、優は気づいたようで黙り込んだ。


え?何に気づいたか?


それはね、俺の名前だよ。


美吉野岐山。


俺が好きな…いや私が好きな花の種類。


花菖蒲って知ってる?


菖って言えばわかるかな。


花菖蒲にはね種類があって、


清少納言、潮来、美吉野、岐山、羅生門…


その他にもすごいあるんだ。


美吉野岐山はそこから取ったんだよ。


私の本名は


亘理 鈴香(ワタリスズカ)。


女っぽい名前だからさ偽名使ったんだ。


優は私の好きな花を知ってるから
きっと気づいたんだろうね。


好きな花教えててよかったわ。


きっと沖田隊長は気付いていないだろう。


まぁこれは私のただの希望だけどな。


そういや優って暗号系得意かな?


よし、物は試し!!



「…優…あっ!!」


「岐山?」


「小さい頃近くに住んでたお優さん?」


「え…?あ、うん、そうだよ!!」


「すみません、思い出すの遅かったですね。」


「何、結果的に知り合いなの?」


「はい、小さい頃よく遊んだんです。
 そういえばお優さん。」


「?」



「ずっとここにいたんですか?
 俺ずっと探してたんですよ?
 小さい頃いきなりいなくなるから」


「ここに来たのはつい最近だよ。
 帰り道わかんなくなっちゃってね。
 岐山こそなんで新撰組に?」



「色々あってね。俺も帰り道分からなくなった
 もんで。局長に入れて貰ったんだ。」



「取り敢えず着物買うよ」



「あ、はい」