「捕まえたぞ…。」


…まぁ結果捕まりました。


ていうかタイムスリップって本当にあるんだね。


おかげで人生最悪よ。



「俺を捕まえて何がしたいんです?
 特に俺何も悪いことしてませんけど。」



「じゃあ何故逃げる?」



「なんとなく?」



「なんとなくで逃げる奴がどこにいる」



「ここに」



「ふざけてるのか?」



「いいえ?凄く真面目に。それに」



「なんだ」



「いきなり腕掴まれたらそりゃ
 びっくりするでしょう?」



「まぁそうだな」



「まぁいいや。それで?
 何したかったんです?」



「お前の先の身のこなし。見事だった。」
 


「まさかそれだけ?」



「いや違う。何故空から降ってきた?」



「空から!?」



「違うのか?そこらの者によればそうだと」



「…人生最悪だなぁホントに」



その小さな私の呟きは聞こえなかったようだ。


まさか山から落ちたら空ですか。


いやそんなことある?


いやまて。


本当だったらだよ?


あの子が生きている可能性あるやん。


どうしよう。


取り敢えずここは嘘つくか?


正直なこと言っても信じてくれなさそうなんだけどこの人達。


まー適当に言っとくかなぁ。


一応嘘をつくのは得意なんだ。



「実はですね、でっかい建物(?)から
 飛び降りたら空だったんですよ。」



「本当だろうな?」



「ええ」



まぁ、嘘ですけどね。


ていうか神様も酷いなぁ。


どうせ空から落とすなら殺せば良かったのに。


私はそこまで生に執着してないし。


だって私何やっても才能ないもん。


さらには精神的ストレスで過呼吸起こすし?


しかも月日が経つにつれて感情はなくなってくし


別にまぁこの人たちが信用しないで私を殺してくれるなら逆に万々歳よ?


私新撰組大好きだから。


かと言ってそこまで詳しくはないんだけどね。



「はぁ、まあいい。ついて来い」


「ついて行ったら何かあります?
 殺される予感しかしないんすけど?」


「お前次第だ」


「なら面倒なんでいっそここで殺して下さいよ」


「は?」


「だって裁判する時間が勿体ないじゃないですか
 俺はどう見たって不審でしょうに」


「…何故そんな事を言う?」


「俺は生死とかどうでもいいんすよ。
 心残りも特にないし家族は俺の事
 大事にしてないんで。」


「…尚更つれてく」


「いやいやいや話聞いてました?
 殺してくださいってこの時間が
 もったいないですよ?」


「いいから黙ってついて来い」


「…はぁい」



面倒だなぁ。


ここでザシュってやっちゃえばいいのに。

























しばらくして


























屯所に着いた。


まぁ、そりゃあ結構でかいよね。


ていうか隊士からの目線が痛いんだけど。


それに私大人が怖いんだけど。


人見知りだし。


あ、でも確か女中とか居たよね?


記憶ないけど。


隊長とかの方が好きだし。



「あれ?土方さんその子どうしたんですか?」


「例の空から降ってきた奴だ」


「うわぁ本当ですか」


「ああ。近藤さんは?」


「中に居ますよ」



誰だろう。


ただ何となく隊長だろうなということは分かる。


まぁ、後で分かるさ。



「ねぇ君、本当に空から来たの?」


「ええまぁ、そうらしいですね」


「そうらしいって」


「途中気を失っていたので記憶にないです」



なんか政治家みたいなこと言っちゃった。


ま、いっか。


ん?


お饅頭の香りがする…。


新撰組の甘味好きといえば…!!



「あの、もしかして」


「ん?」


「沖田総司さんですか?」



するとその人は少し驚いた。


目を見開いたっていえばいいのかな。


私人間観察得意なんだよね。


すると、今度は目を細めた。



「凄いね。なんでわかったの?」


「お饅頭の香りがしたので。
 新撰組の甘味好きと言えば沖田さんかと」


「僕の甘味好きそんな有名かな?」


「有名じゃないんですか?」


「少なくとも隊長格しか知らないと思うよ?
 あと、1番隊。どうやって知ったの?」




ヤッベ墓穴掘ったやん。


沖田さん怖いんだけど。


そんなこわぁい笑顔でこっち見ないで。


この人何、Sなの?


いやだ〜。


これ尋問とかさせちゃいけない奴だ。



「総司、いい加減にしとけ」


「はぁい」



ありがとう土方さん!!


正直死ぬかと思ったよ!!(恐怖で)


てか、どこ行ってたんだこの人。