最初の花火大会の記憶はすっごく前のことだ。

確か、まだ3歳とかそれぐらいだった。

浴衣を初めて着たのもその時。

大きな花火の音に驚きつつ、綺麗だと思った。

そしてお母さんが、言った言葉が今も頭に残っている。

"いつか大きくなったら大切な人と見るのよ。そしたらね、ずっと一緒にいられるの"

私の住む地域の根拠のない言い伝えのようなものらしいが、不思議と疑うことはしなかった。

高校生になった今でもそれは信じている。

だからずっと夢だった。

大切な人と一緒に花火を見ることが。

いつかは結婚して子供と見ることが私のささやかな夢だった。

今の私にはもう叶わない。

ずっと一緒にいたくても私はもうすぐいなくなるのだから。