「怖いよ……っ」


誰か……お願い、助けて。

怖い、寂しい……。

じわりと涙が溢れてきて、止まらなくなる。

お願い。気づいて、誰か助けてっ……!!


「……湊、せんぱい……っ!!」


無意識に、その名を口にした。

その瞬間。

――ドンッ!!


「莉子!!」


……え?

湊、先輩……?


「いたら返事して!!」


ドンドンと、外から扉を叩く音が聞こえる。

紛れもない湊先輩の声に、流れていた涙が更に止まらなくなる。


「せ、んぱい……」


声が震えていて、うまく出ない。

こんな声じゃ気づいてもらえないと思ったのに……。


「莉子?」


私の声が聞こえたのか、聞き返すような湊先輩の声がはっきりと聞こえた。


「湊、せんぱっ……助けて……っ」


喉の奥から、精いっぱい声を振り絞って助けを求める。


「ちょっと扉から離れて!」


そう言って少しの静寂が流れたあと……。

ドカンッ!!

大きな音が聞こえて、明かりが差した。

片方のドアが、地面に倒れている。

足でドアを壊してしまったらしい湊先輩が、私の視界に入った。


「莉子……!」