その言葉に含まれた真意にゾッとする。

こいつには、小さいころから想い焦がれている幼なじみの女がいる。

京壱にとって幼なじみだから俺にとっても幼なじみということになるが、実際俺は1、2回程度しか話したことがないし、昔から女嫌いだったため正直顔も覚えていない。

ただ……こいつの好意は異常だった。

一緒に住んでいたときの京壱の部屋を思い出す。

部屋中に幼なじみの写真を飾って、病気なんじゃないかと疑ったくらいだ。

とにかく歪んでいるというか……。ある意味ここまで惚れられた相手がかわいそうになるくらい。


「呑気にしてると取られるぞ」


確か小学校にあがる前から好きだと言っていたのに、高1になった今も付き合っていないらしい。

こいつ、顔だけは作られたみたいに綺麗だし、父さんの会社の後継ぎになることも決まっている。

俺が知る限りで、不得意なことなんて1つもないし、欠点があるとすれば、この尋常じゃない執着心くらいだろう……。

俺の言葉に、一瞬顔から笑顔を消した京壱。


「それはない。予防線は張りまくってるし」