クールな生徒会長は私だけにとびきり甘い。

「こちらこそ……! 誘ってくれて、ありがとうございました!」


満面の笑顔に、癒される。

また明日会えるというのに、別れるのが名残惜しい。


 「じゃあまた」と手を振ると、なぜか莉子が、何か言いたげに俺を見上げた。


無意識の上目遣いにドキッとしつつ、「どうした?」と聞く。


「あの……」

「ん?」

「今日の湊先輩、すっごくかっこよかったです……!」


……っ、え?

予想外の言葉に、一瞬息をするのも忘れた。

今、なんて……?


「……あっ、今日だけって意味じゃなくて、いつもかっこいいですけど、今日は特別かっこよかったっていう……あっ!」


夢のようなセリフをはく莉子だったが、途中自分がどれだけすごい発言をしているのか気づいたらしい。

顔を真っ赤に染めて、両手で顔を隠した。

ぷしゅ~っと、今にも湯気が出そうなほど真っ赤になっている。


「あ、あの……今の忘れてくださいっ……!」


そう言って、玄関の扉まで走っていく莉子。


「し、失礼します……!」


それだけ言い残して、慌てて家の中へ入っていった。