こいつも隅に置けないなと思いながら、ふと初戦について気になっていたことを聞く。


「1回戦どこ高だっけ?」

「お前……なめすぎだろ」


別になめているわけではないけど、他のことが忙しくて1回戦に備えている暇がなかった。

一応、公立校の中で俺たちの高校は強豪と言われていて、1回戦で負けることはまあない。

余裕というより、それは自信だった。

それに、今日の俺には、勝利の女神もついている。


「別にどこでも負けないだろ。今日莉子来てるし」

「確かにそうかもな。俺もかっこ悪いとこは見せられないしな」

「凡ミスすんなよ」

「わかってるっつーの」


朝日と2人、負けるわけにはいかない試合に、気合いを入れ直して挑んだ。


「先輩たち、すごいかっこよかったですっ!!」


2試合を終え、富里が指定したカフェに4人で来ている。

試合はどちらもストレート勝ちで、内心ホッとしている。

莉子にかっこ悪いところを見られなくて、本当によかった……。

興奮が冷めやらぬ様子の富里に、朝日が笑っている。


「ありがと。湊と俺、どっちがかっこよかった?」

「朝日先輩!!」