「んー。それもそうなんだけど、紗奈ちゃん可愛いからさ。もうちょっといじめたいなって思っちゃって?」


いつものヘラヘラした顔でそんなことを言うから、若干引いてしまう。

こいつ……。やっぱり性格がひん曲がってる。


「あんな気が強そうな顔してんのに、俺の前では子鹿みたいになんの。ヤバくない?」

「……わかんねー」

「まあ湊みたいにまっすぐなヤツにはわからないだろうね。俺、性格捻くれてるから」


自覚しているのか、楽しそうに笑っていた。

まぁ……別に、朝日と富里がどうなろうが知ったことではないけど。


「莉子の友達なんだから、変なことすんなよ」


俺と莉子の邪魔だけはすんなよ、と、自分勝手な発言をした。

その途端、朝日の表情が一変する。


「しねーよ。超大事にするっつーの」


これなら……。心配しなくてもよさそうだな。

こいつは、昔からいつもヘラヘラして愛想よく振る舞っているが、根は真面目なことを、俺は誰よりも知っている。

一応幼なじみだし、信頼もしている。

つーか、今日の試合、俺のためみたいな言い方で莉子と富里のこと誘ってたけど……。自分のためかよ。