……無理、天使すぎる。

呆れるどころか本心でそう言っていそうな莉子が、本気で天使に見えてしまった。

俺も重症だと思いながら、こんな今の自分を嫌いじゃないと思っている。


「あっ……。そうだ、これ部活の皆さんに差し入れです! 試合頑張ってください!」

……え?

莉子に渡された袋を見ると、そこには幾つものチョコレートバーが入っていた。

差し入れ的には、とても嬉しいもので、多分いろいろ調べてくれたんだと思う。

こんな人たちに差し入れなんていらないのに……。つーかあげたくない。1人で食おうかな……。

そんなことを、本気で一瞬考えた。


「ありがと。じゃあ行ってくる」


ぞろぞろと控え室へ移り始めた先輩たちに続き、俺も荷物を持って席を離れる。


「はいっ! 応援してます!」


その応援1つで、きっと俺はなんでも頑張れると思う。

莉子の笑顔に癒されながら、応援席をあとにした。


「お、湊それ何?」


控え室への移動中。

莉子から貰った袋を見ながら、先輩がそう聞いてきた。


「…………莉子から皆さんに差し入れです」


言おうか悩んだ末、正直に返事をする。