先輩たちはうるさいけど……。知られざる莉子の俺への印象を聞けて、感謝してやらなくもない。

正直無愛想だと自覚していたから、もしうまく伝えられていなかったらどうしようと不安だった。

莉子には最大限、これでもかってくらい優しくしているつもりだったから、それが伝わっていたんだと内心嬉しくてたまらない。


「なんだよ、バカップルかよ!?」

「先輩、うるさいですよ。そろそろ時間。控え室移りますよ」

「あ、マジだ!」


俺の言葉に、スタジアムの時計を見て慌てだす先輩たち。


「じゃあ1回戦行くか! 今日キャプテン熱出して欠席らしいから、お前らキャプテンの分まで頑張れよ?」


さらりと主戦力の欠員を報告してくる先輩たちに頭が痛くなりつつも、空返事をした。

ほんと、大丈夫かよ、この人たち……。


「1、2年は負けたらパワハラすっからな?」

「卒業までこき使ってやるぞ!」


……いや、もう手遅れだった。


「……ごめん莉子、バカばっかりで」


恥さらしもいいとこだと思いながら謝ると、莉子はふにゃっと可愛らしい笑顔を向けてくる。


「優しそうな先輩たちですね」