「俺こんな間近で見るの初めてなんだけど……」

「初めましてー! 俺らサッカー部の先輩です! いつも湊がお世話になってます!」


デレデレしながら、莉子に近づく先輩たち。


「え、えっと……。こちらこそ、湊先輩にはいつもお世話になってますっ……」


返事なんてしなくてもいいのに、莉子は律儀に立ち上がって、先輩たちに頭を下げた。

ぱぁっと顔を明るくさせて、更にデレデレし始める先輩たち。


「えー! 声めっちゃ可愛いんだけど!」

「湊が落ちるのもわかるわー」


こうなると思ったから嫌だったんだよ……。


「先輩たち、やめてください」


そう言って、莉子を自分の背中に隠した。

前の席では、朝日と富里もちょっかいをかけられている。


「朝日の彼女? めっちゃ綺麗だね?」

「か、彼女じゃないです……!」

「え! そうなの? じゃああとで連絡先交換しよーよ!」

「あ……。えぇっと…………」


1人の先輩がしつこく富里に迫ると、朝日がスッと立ち上がって言った。


「ダーメ。紗奈ちゃんに手出さないでください」