さっき買っておいた苺ミルクを莉子に渡す。


「わっ……ありがとうございます!」

「どういたしまして。俺もちょっと飯食っていい?」


カバンの中から、莉子の苺ミルクと一緒に買ったパンを取り出す。


「湊先輩、それ朝ごはんですか?」

「うん。朝食べる時間なかったから。今のうちにスタミナつけとこうと思って」


寝坊したというのは秘密にし、パンの袋を開けようとしたときだった。


「あ、あの……」

「ん?」


なぜか顔をほんのり赤く染め、手に持った袋を俺に差し出してきた莉子。


「これ……。あの、ありがた迷惑かなって思ったんですけど、よかったら……」


……え?

そっと受け取り、袋の中身を見る。

これ……。


「……弁当?」


可愛らしい袋に包まれていたのは、弁当箱だった。


「スタミナがつくおかず、たくさん入れましたっ!」


恥ずかしそうに笑う莉子を、抱きしめたい衝動に襲われた。

もちろん、必死に我慢したが、喜びは抑えられない。


「……すっげー嬉しい」


莉子が作ってくれたのか……?

俺のために?


「食べていい?」