「私たちが行っても、いいんですか?」

「もちろん。だから誘ってるんだし! 湊、超うまいよ~」

「へえー、そうなんですか?」

「うん、うちのエース。一応公立じゃ強豪校なんだけど、こいつは1年で異例のレギュラー抜擢だったから」


異例のレギュラー……。す、すごい……!


「朝日先輩もレギュラーですよね!」


隣で一緒に聞いていた紗奈ちゃんが、目を輝かせている。


「ま、俺は2年からだけど。莉子ちゃんが来てくれたら湊も喜ぶよ。な、湊!」


同意を求めるように湊先輩の肩を叩いた朝日先輩。

だけど、湊先輩はどこか浮かない顔をしていた。

湊先輩は、迷惑……なのかな……?


「……会場、男ばっかりだからな……」


……え?

ポツリと呟いて、考えるように黙り込んだ湊先輩。


「お前、心狭すぎかよ」


朝日先輩が、呆れたような表情で湊先輩を見ている。

……な、なんの話?

隣にいる紗奈ちゃんも、くすくすと笑っていて、どうやらわかっていないのは私だけらしい。


「莉子なんか、絶対絡まれるだろ」

「いや、俺らの応援席で見てもらえばいいじゃん」