もう、ほんとに、ほんとにずるい……。

顔が熱くて、上げられない……っ。


「莉子? どうしたの?」


俯いた私を心配して、覗こうと顔を近づけてくる湊先輩。

覗かれては困ると慌てて距離を取り、手で顔を隠した。


「な、なんでもないです……!」


こんな情けない顔、見ないで。

不思議そうにしながらも、それ以上湊先輩が追及してこなかったことにホッとする。

心臓は、相変わらず私の言うことを聞いてはくれず、ドキドキと騒がしく高鳴っていた。