好きになれるかどうかなんてわからないけど……ここまで真剣に気持ちを伝えてくれたこの人のことを、知りたいと素直に思った。


「ほんとに?」


私の返事を聞いた先輩の表情が、みるみるうちに明るくなる。


「ありがとう。嬉しい」


言葉どおり、本当に嬉しそうに微笑んだ先輩に、不覚にも胸が高鳴る。

う……笑顔の破壊力……恐ろしい……っ。


「あ……そういえば名前言ってなかった……。俺、2年の瀬名湊。これからよろしく」


思い出したようにそう言って、名乗ってくれた先輩。

はい知ってます……と心の中で返事をして、私も自分の名前を口にした。


「こ、こちらこそ……私は1年の小森莉子です」

「うん、知ってる」


すぐに返ってきた返事と笑顔。

そ、そっか……告白する相手の名前くらい、知ってるよね……。

なんだか恥ずかしくなって、視線を下げた。


「急に呼び出してごめん。そろそろ授業始まるし、戻ろっか」

「あ……はいっ」


2人で並んで、さっき通った廊下を歩く。

1年の私の教室に近づくにつれて増えていく人の目。
う……視線が痛い……。


「ねぇ、あれって……」