クールな生徒会長は私だけにとびきり甘い。

「湊先輩……。どうして……」

「グラウンドから見えた」


私が言い終わるよりも先に、質問を汲み取ってくれた湊先輩が、きっぱりとそう言った。

グラウンド……。そっか、この保健室、グラウンドに面してるから、向こうから見えるんだ。

窓の外を見ると、部活動中のサッカー部員の姿が見える。


「あの……」

「ん?」


ずっと心配したように見つめてくれる湊先輩のほうに、視線を移す。

瞬きをすれば溢れてしまいそうな涙を必死に我慢して、口を開いた。


「こ、怖かった……です……っ」


違う、こんなことが言いたいんじゃない。

ありがとうございますって、言いたかったのに……どうして、こんなこと言っちゃったんだろう。

湊先輩だって、きっと困るに決まってる。

そう、思ったときだった。

……っ!

そっと、温かい手に両手を握られた。

湊先輩の大きな手が、情けなく震えている私の手をすっぽりと包み込んでくれる。


「遅くなってごめん……もう、大丈夫だから」


ごめん……なんて、湊先輩が謝る理由、1つもないのに。 

むしろ、助けに来てくれてすっごく嬉しかった。