クールな生徒会長は私だけにとびきり甘い。

すぐ目の前に来た湊先輩は、私の手を引いて、自分の背中に隠してくれる。


「おま……なんでここに……」

「……チッ」


湊先輩が、兼山先輩を見て舌打ちをした音が聞こえた。

背中に隠れているため、湊先輩の顔は見えない。

でも、湊先輩の肩越しに兼山先輩の真っ青になった顔を見て、なんとなくその表情を察した。

湊先輩、怒ってる……?

私のために……怒ってくれてるの?


「おい」


静寂に包まれた保健室に、湊先輩の低い声がよく響く。


「……2度と莉子に近づくなよ」

「……わ、わかった……」

「早く行け」


そのひと言で、兼山先輩は逃げるように保健室を去っていった。

よかった……。


「莉子……大丈夫?」


すぐさま振り返った湊先輩が、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。

さっきとは打って変わって、その声はとても優しかった。

まだ自分の手が少し震えていることに気づいて、両手を握り合わせる。

湊先輩が来てくれなかったら、あのまま、どうなっていたかわからない……。

ほんとに、本当によかった……。

でも、どうして湊先輩はここに……?