クールな生徒会長は私だけにとびきり甘い。

「やっぱり莉子ちゃんもかっこいいヤツがいいの? 俺も結構イケてるほうだと思うんだけどな」


私に答える隙も与えず喋る、先輩の目が怖い。

離れようと1歩後ずさった瞬間、ガシリと腕を掴まれた。

……っ!!


「は、離してくださいっ……」


振りほどこうともがいても、ピクリとも動かないくらい先輩の手に力が入っている。

私の腕を掴んだまま、更に顔を近づけてくる先輩。


「ね、1回俺と遊んでみない? そしたら気持ち変わるかもよ?」


なに、言って……っ。

少しずつ、私と先輩の距離がなくなっていく。

嫌、やだやだっ……やめて……っ。

誰か、助けてっ……!

――ガンッ!!

荒々しい音を立てて、保健室の扉が開いた。

息をきらし、殺気を纏っているその人を見て、じわりと涙が溢れる。


「……湊、先輩?」


どうしてここに湊先輩がいるのかはわからないけど、ただ……ホッとした。

もう大丈夫だって、なぜだか安心できたんだ。


「莉子から離れろ」


静かに私たちのほうへと近づいてきた湊先輩が発した声は、驚くほど低かった。