返事に困ってしまって、唇をきゅっと窄めた。


「お願い。俺にとって最初で最後の恋だから、チャンスが欲しい」


微動だにしなかった先輩の表情が、微かに崩れたような気がした。

大げさな言葉とは裏腹に、声は切実に訴えてくる……。

それがひしひしと伝わってきて、なんだか私まで胸が苦しくなった。

先輩のことを何も知らないまま断ろうとしている自分が、すごく悪い人に思えて、申しわけなくなる。


「どうしても無理だったら諦める。だから、友達から……ダメ?」


追い討ちをかけるようにそう言ってきた先輩に、私の頭の上にはてなマークが並んだ。

どうして、先輩はこんなに必死になっているんだろう。

なんで……私なの?

この先輩なら、どんな美女だって落とせそうなのに。

私の何をそこまで気に入ってくれたの……?


「……」


じーっと、私のほうをまっすぐ見つめて、返事を待っている先輩。

どれだけ好かれているんだろうと、自惚れてしまいそうなその眼差しに、私はこくりと導かれるように頷いてしまった。


「えっと……友達から、なら……」


ここまで迫られて、無理です、ときっぱり断れない。