「それじゃあ、会議に行ってくるから、少しの間あけるわね」

「はい! いってらっしゃい先生!」

「ふふっ、今日も莉子ちゃんは可愛いわ~」


私の頭をわしゃわしゃとして、出ていった保健の先生。

よし、先生がいない間、しっかり仕事しなきゃ。

そう気を入れ直して、頰をぺちっと叩いた。

放課後の保健室は、訪問者が多い。


「保健委員ー! ケガ人出たから手当てお願い!」


マネージャーらしき女子生徒が、ユニフォームを着た男子生徒を連れて入ってきた。


「はーい!」


男の子を入れるや否や、「あとはよろしく!」と去っていったマネージャーさん。

頼まれた私は、ケガ人の男子生徒を椅子に座るよう案内した。

うわ……酷いケガ……。

見ているこっちが痛くなるようなケガを膝に負ったその男子生徒は、痛みを堪えるように唇をきゅっと噛みしめている。

多分陸上部員で、練習中に転んでしまったみたいだ。