「ただいー…………あれ、タイミング悪かった……?」


扉が開いて、朝日先輩と紗奈ちゃんが入ってくる。

私は反射的に、湊先輩から距離を取った。

……び、びっくり、した……。

今……。

……キ、キス、されるかと思った……。


「えっと、俺らもう1回どっか行こうか?」

「……もうお前喋んな」

 「えー、ひっど!」と不満をこぼしながら不機嫌アピールをする朝日先輩に、ホッとする。

よかった、2人が戻ってきてくれて。

もしあのまま、2人が戻ってこなかったら……。

どう、なっていたんだろう……。

……ダメだ。変なことを考えるのは、やめよう……!

慌てて首を振って、変な想像を振り払う。

ただ心臓だけが、ドキドキと鳴り止まないままだった。