もっと話していたかったけど……。


「はい! また……」


寂しさを隠して笑顔を向ける。


「今日は、俺のわがまま聞いてくれてありがとう。……バイバイ」


え……?

言い逃げするように、ポツリと言われたそんなセリフ。

私に背を向けて歩いていく湊先輩の耳が、赤く染まっていた。

……っ!!


「み、湊先輩!」


とっさに、名前を呼んでしまった。

私の声に引き止められた湊先輩が、ゆっくりと振り返る。


「私……真剣に、考えます」


今朝は、告白はただの冗談だと思っていたけど……。


「好きになってくれて、ありがとうございます……!」


こんなに真剣に気持ちを伝えてくれる人に、曖昧な態度を取っちゃダメだ。

それに、もう知りたいって思い始めている……湊先輩のこと。

もっともっと……知りたい。

私を見つめる湊先輩の瞳が、大きく見開かれる。

少しの沈黙のあと、湊先輩は私のほうへと戻ってきた。

目の前で立ち止まり、綺麗な瞳にじっと見つめられる。


「そういうところがほんとに……」

「……え?」


今、なんて?