私は、率直にそう思った。

湊先輩は、一瞬驚いた表情をしたあと、照れくさそうに笑った。


「……ありがとう」


嬉しそうなその笑顔に、またしてもどきりと胸が音を鳴らした。

イケメンって……ずるいなぁ……。

どんな顔をしてもかっこいいなんて……。

そんなことを思っていると、見慣れた道に差しかかる。


「あっ……私の家、あそこです」


奥のほうに見えた赤い屋根の自宅を指さして、家に到
着した。


「送っていただいて、ありがとうございました……!」


なんだか、あっという間だったな……。

いつもは長く感じる帰り道が、一瞬に感じた。

むしろ湊先輩と離れる寂しささえ感じて、そんな自分に驚く。


「楽しかった。また一緒に帰ってくれる……?」

「はい……もちろんです」


湊先輩の言葉に、笑顔で頷いた。


「あ、連絡先教えて」

「はい!」


連絡先を交換し、画面に映し出された湊先輩のプロフィール。

湊先輩のアイコン、猫だ……可愛い!

湊先輩が飼っている猫ちゃんなのかな……?


「それじゃあ、また」


そう言って手を振る湊先輩。