「よし! 決まりね!!」


よっぽど甘いものが食べたかったのか、紗奈ちゃんは鼻歌交じりに帰る支度を始めた。


「どこ行こっか?」

「そうねー……ドーナツかパフェかケーキが食べたい気分!」

「あはは、選択肢多いよぉ」

「あたしの身体が糖分を求めてるの!」


と手を握りしめて語る紗奈ちゃんに、くすくす笑いながら、2人で教室を出ようと立ち上がる。

そのとき、違和感に気づいた。


「なんか外騒がしくない?」


どうやら紗奈ちゃんも同じことに気づいたらしく、2人で目を合わせる。


「そうだね。何かあったのかな……?」


なんだか、やけに廊下のほうが騒がしいような……?

不思議に思って、私は教室の扉から廊下を見た。

そして、ある1人の姿が視界に飛び込んできて目を大きく見開いた。


「……え?」


瀬名、先輩……?


「ちょっと莉子、あれ瀬名先輩じゃないの!?」

「え……あ、う、うん、そうだね」

「そうだねじゃないわよ!……って、こっち見た!!」


壁にもたれかかりながらスマホを見ていた先輩の視線が、スッとこちらに向く。